『ヒマラヤの師と共に』目次と前書き全文

【目次

前書き

1章 はじまり

2章 ヒマラヤからの訪問者

3章 ガーヤトリー・マントラの詠唱

4章 ヨーギー・ゴーパーラ・サーミとの出会い

5章 神に陶酔したスーフィーの聖者

6章 ヒンドゥー教のスブラマンニャ寺院

7章 ヒマラヤ登頂のための準備期間

8章 シュリー・ナーラーヤナ・グルの物語

9章 奇妙で絶妙なインプット

10章 マスターンによる祝福

11章 3人の僧

12章 裸の女聖者 マイ・マー

13章 聖なる狂気とは

14章 ヒマラヤ試運転

15章 ヒマラヤに向けて出発

16章 ヴァーシシュタ洞窟

17章 ナーガ・サードゥと偉大なるマントラ

18章 神官と靴の修理屋

19章 バドリナートでの求道者

20章 ババジとの再会

21章 最初の秘伝の伝授

22章 クンダリニーの火を灯す

23章 年老いたチベットのラマ

24章 ヨーガ、ヴェーダ、ナータ派

25章 山男とトリングムットへの旅

26章 花の谷とヘームクンド

27章 シッダとの出会い

28章 ケダールナートで経路を拓く

29章 空から訪れた火の玉

30章 伝説の師匠との出会いと癒やし

31章 真の聖者

32章 シュリー・ヴィッデャの秘伝の伝授

33章 ドイツ人による解剖学の講義

34章 トリヴァンドラムへの帰還

35章 使命のための準備期間

36章 スーフィーの聖者の弟子となる

37章 ラーマクリシュナ・ミッションのブラフマチャーリー

38章 シュリー・デーヴィーとニーム・カローリ・ババに出会う

39章 ヴァーラーナシーのアゴーリーの変身

40章 アランディ、シルディとドア抜け事件

41章 さらなる旅と発見の日々

42章 タージ・マハールでババジに出会う

43章 ラクシュマン・ジューとJ・クリシュナムールティに会う

44章 ヴァサント・ビハールでの日々

45章 ババジ、肉体を離れる

46章 「K」の他界

47章 ニール・バーグへの転居と結婚生活

48章 サットサンガという名の列車

49章 カイラス山・マナサローヴァル湖への巡礼

50章 終わることなき旅

【 前書き 】

この本は、南インドの海岸沿いから雪に包まれた神秘的なヒマラヤ山脈の峰々へと至り、そこから平野へと戻っていく旅の記録です。この旅路で私は並外れた力を持つ人たちと出会い、信じがたいほど素晴らしい体験を彼らと共にしました。この旅に読者のみなさんをお連れする前に、前置きとして、いくつか知っていただきたいことがあります。

この本を書くまで、この体験の話は誰にもしたことがありませんでした。それは私の心のなかに大事にしまわれ、最も親しい友人たちにさえ、私の意識の奥底にあるものが明かされたことはありませんでした。

しかし、何故、私はこの経験を他人から隠すようにしていたのでしょう?そして、今になって秘密を公にすることにしたのは何故でしょう?

まず、その説明をしましょう。

私の師匠の「ババジ」は、私が自叙伝を書くことになると常々言っていました。そして、この本の出版される2年前にババジから執筆の許しを得ました。しかし、その後6ヶ月もの間、この本に書かれている体験を公にすることを私はためらっていました。私の躊躇していたのには2つの理由があります。

まず、神秘的な体験の魅力に惑わされ、真摯に真理の探求をしている人々が、探求において必要不可欠である現実的な側面を、誤解してしまうのではないかという懸念がありました。

また、私の体験のいくつかの部分は信じられないほどに奇妙であるため、疑い深い読者からは、作り話として真剣に扱われない可能性もありました。

しかし、最終的に、私は自叙伝を書く行為を次のように正当化しました。

まず、自身の体験を書くのが私にできることの全てであり、それをどう判断するかは読者の自由です。懐疑的な読者も少人数ながらいるでことしょう。しかし、その少人数に対する遠慮のために、他の大勢の読者に私の体験を伝えないというのは不公平なことだと私は考えました。

また、インドのヨーガの達人の自叙伝で古典的存在となっている『あるヨギの自叙伝』が書かれた後、真率なヨーギーの自叙伝というのは世に少なく、本の著者は既に他界しているか、もしくは公に出てていない場合がほとんどです。さらに『あるヨギの自叙伝』がどれだけヨーギーの世界の実像に近いものであろうと、本の著者がヒマラヤ山脈で過ごした時間は短いものです。そのため、特にヒマラヤ山脈での期間を含めて、自分の体験を今の世に生きる人々に伝えることは重要なことだと私は理由付けました。そして、真剣に真理を探求している読者のために、自叙伝をきっかけに、私の知識を共有する機会も与えられるようになるとも考えました。

最後に、この自叙伝を書くことで、ほんの一握りの人々にしか知られていない、私の師であるマヘーシュワルナート・バジジ、また彼の師であるシシュリー・グル・ババジのように偉大な師匠たちが、世界中の人々の発展と幸福に与えている大きな影響の証をすることも私は試みたのでした。

必要であれば、あまりに奇怪で信じられないような箇所は飛ばして、残りの部分を読んでみてください。一部分が信じられないというだけで、シュリー・グル・ババジやマヘーシュワルナート・ババジの貴重な教えを読み落としてしまうことがないようにしてほしいと思います。私が師匠に負うところは、近代インドの聖者、スワーミ・ヴィヴェーカーナンダが彼の師匠であるラーマクリシュナ・パラマハンサについて言ったことと同じです。彼は言いました。「私の師匠の神聖な足からこぼれ落ちた塵のかけらで、千人のヴィヴェーカーナンダを生み出せたことだろう。」

「ヴィヴェーカーナンダ」を私の名前に代えてもらえれば、私が師匠に負う負債の大きさがわかっていただけるかと思います。

さて、前置きはこれくらいにして、読者のみなさんを未知の旅へとお連れしましょう。偉大な師匠たちによる祝福があなたと共にありますように。

それでは、旅をはじめましょう。